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2025.08.11KOYO’s Letter ~in summer~① 【いま、なぜ「経験」が必要なのかー向陽高校が目指す教育ー】

今、子どもたちを取り巻く社会は、大きく変わりつつあります。
将来の選択肢はかつてより広がった一方で、「正解」が見えにくくなり、「どう生きるか」「何を大切にして働くか」といった問いに、はっきりと答えを持てずにいる子も少なくありません。
また、スマートフォンやAIが当たり前になった現在、情報は手軽に手に入るようになりましたが、「実際にやってみる」という機会はむしろ減ってきたように感じます。
経験不足や自己肯定感の低さ、不安定な人間関係など、子どもたちは、これまで以上に多くの悩みを抱えながら日々を過ごしています。
そんな時代に、私たち向陽高校が大切にしているのが、「体験」を通じた学び(経験学習)です。
向陽高校では、創立以来、看護・調理・エステ・美容・パティシエといった職業に直結する学びを通して、社会とつながる実践的な教育を行ってきました。
これは単なる技能の習得ではなく、人としての成長や、自分と向き合う時間を何よりも大切にしてきた歴史でもあります。
実際の授業(教育課程)では、教科書を読むだけでなく、自ら手を動かし、仲間と協力しながら、挑戦と試行錯誤を繰り返します。
どの学科においても、「実習」の中で、ロールプレイングや対話的な学びを通して、「自分の考えを伝える力」や「他者と協働する力」を育てることを大切にしています。
私たちは、こうした教育を通して、生徒一人ひとりが「生きる意味」や「働く意味」を見つけていけることを願っています。
普通科に象徴されるように、知識だけではない、心に響く学びを。将来の進路だけでなく、その先の人生までを見据えられる学びを。
101年目を迎えた新しい向陽高校がその強みを発揮できる教育とは、「体験を通じて、人間力を育み、社会とつながる確かな一歩を、生徒自身の手でつかみとらせること」だと考えています。
次回は、そんな「向陽高校の学び」が、実際にどのような場面で息づいているのか、生徒たちの姿を通して、その一端をご紹介できればと思っています。