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講師インタビュー

作業療法学科(OT)講師インタビュー

中村義博先生

作業療法学科 中村義博先生 Teachers Voice

作業療法の専門分野を教えて下さい。

精神疾患 精神障害分野です。

作業療法士になろうと考えたきっかけはなんですか?

母が看護師だったので、幼い頃から病院や医療関係の仕事を見ていました。毎日働く母の姿を見ていて、いつかは医療機関で働きたいと漠然と考えていたのかも知れません。保育園から帰るのは家じゃなくて、母の勤める病院・・・って言うくらい毎日のように病院にいましたから、自然と考えてたんでしょうね(笑)

 そんな時、祖父が「スモン病」と診断され、足が痺れてあまり歩けなくなってしまいました。そんな祖父を見て「何かしてあげたい!」と思うようになり、中学になる頃にはリハビリテーションの道を考えるようになっていました。母にリハビリの道に進みたいと相談して見ると、理学療法士や作業療法士という仕事がある事を教えてもらい、少しずつ具体的に考えるようになってきました。

中学の頃は将来のことはまだぼんやりしていましたが、高校の夏休みに理学療法士のそばで2週間ほどお手伝いをする機会に恵まれました。患者様が高齢者だったので、いろいろお話しするのも楽しくて・・・話すことが好きなので、性格的に合ってたんでしょう (笑)この時ようやく「患者さんと接するということはこういうことなんだな」と実感が持てるようになりました。

理学療法士と作業療法士を迷いましたが、まだまだ人数が少ない作業療法士にやりがいを感じて、作業療法学科がある専門学校に入学を決めました。

専門学校での思い出はありますか?

学生時代は2ヶ月間の実習が2回、1ヶ月間の実習が1回ありました。

精神障害分野に決めたのは、実習であるバイザーの先生に出会ったからです。

患者様に対する真摯な姿勢がとても尊敬できる先生で、その方に「患者様の“障害”を見るだけでなく、“生活”を見なさい」と言われたことがとても衝撃的でした。今でもその言葉を思い出しながら仕事をしていますし、そのバイザーの先生とは今でもお付き合いいただいて本当に感謝しています。

作業療法士のお仕事は、具体的にはどのようなことをされていたのですか?

作業療法の中でも、いろんな分野がありますが私は精神障害分野です。

精神障害・・・例えばうつ病などの方に、「もの作り」を通じて喜びを感じていただくリハビリをします。
うつ病の患者様は、“今までやっていた事ができなくなっている自分”に対して「自分はダメな人間だ、何をやっても出来ない」と非常に自己評価が下がってしまうことがあります。そんな方に、今までにやった事がないようなものを作っていただいて、完成した小さな喜びを感じてもらうんです。自分で作ったものを家族へプレゼントして喜ばれると嬉しいし、自信になりますよね。小さな成功体験の積み重ねが本人の意欲を引き出すんです。
閉じこもっていると、一つの事を深く考え込んでしまってどんどん深みにはまりますから、作業療法士がその手助けをするというイメージでしょうか。

退院された後も、復職をお手伝いすることもあるんですよ。

ハローワークに一緒に行って、周囲の理解を促進します。その方の症状や障害に対する知識を理解していただいたり、就職された職場に一緒に行って、働きやすいように環境を調整したりもします。そのような活動を経て、患者様が再び活き活きと働かれるようになった時は本当に嬉しいです。

家族の方も本当に喜んでくださいますから、やりがいを感じます。

なるほど、作業療法士の仕事がよくわかりました。具体的なエピソードがあれば教えていただけますか?

精神障害になると、社会的入院と言ってかなり長期間入院されている方が多くおられます。

ある患者様は、私がお会いするまでに、すでに30年入院されていました。あまりにも長く入院されている事もあり、「退院なんかしたくない!!」の一点張りでした。

それが、一年かけて作業療法を行い、体験入所などした結果、グループホームへ転院できるようになられました。家族への理解や調整も必要でしたが、ご本人も頑張られました。病院ではお金を持てないのでお金の使い方から学んでもらったりして。でも、グループホームではみんなで自炊してみんなで食べたりするので、ご本人は楽しいようで、今は逆に「もう入院なんてしたくない!」とおっしゃっています。そんなご様子を見ていると、本当にお手伝いできてよかった・・・と思います。

また、ご家族への理解が必要だった他のエピソードもあります。
うつ病などはご家族にも「うつ病」とは何か、どう対処すればいいのか、知らせる事も大切になります。
総合失調症になると、幻聴など陰性症状が出て人と話せなくなることもありますし、陰性表情などが出て意欲減退することがあるんですよね。

ご家族は、長期入院の患者様に対しては、「退院しても引き取りたくない」と言われることもあります。家族にとっては、入院する前の症状の悪い状態しか記憶に残っていないので、それが10年20年前であっても、現在は症状が改善していても、拒否反応を起すのも仕方ないのかもしれません。そんな患者様はどうしても次第に「諦めの気持ち」が強くなってしまいますので、できるだけ現在の生活の中に楽しみを見つけて、何か生きがいを持って暮らしてほしいと常々思っています。

ある時、寝たきりの患者様がおられました。20年も入院されていて、家族ともうまくいっていない状態でしたので、引き取りも難しく退院の目処はありませんでした。私がその患者様を担当させていただくことになって、次第に色んな事が話せるようになった頃、実は絵を描くことがとても好きだという事を知り、思い切ってご家族に絵手紙を書いて送ることを勧めました。

何通も何通も絵手紙を送り続ける事で、ご家族も患者様の症状がこんなにも改善していることを理解していかれました。少しずつ理解の兆しが見え始め、ご家族と食事を楽しめるようになり、1日外泊も試みて、ついにご家族は引き取る事を決意され、退院となりました。退院前には、退院してから一人で留守番ができるように・・・朝パンを焼いて自分で食事ができるように・・・火の取扱に気を付けるように・・・などご家族からの要望に応えるために、色んなことを学んで、ご本人にもやる気を持っていただけるようにお手伝いしました。

患者様の生活や心に寄り添うのが作業療法士の仕事ですが、20年入院されていた方がご家族と生活ができるようになるお手伝いができた時は、感無量でした。

色んなエピソードをありがとうございます。様々な患者様と向き合うことで、ご苦労や辛かったことはありませんか?

新人の頃、未熟な自分がもどかしかったです。患者様との関係性を築くことが何よりも大切なのですが、それがなかなか出来ない時は自分で自分が許せなくて・・・だからこそ、もっと学ばなければ!と言う気持ちでずっと頑張ってきました。

仕事自体で辛かったことはあまりないですが、やはり医療ですから患者様とお別れの時が来るのが一番辛いです。気持ちを込めて向き合っているので、本当に辛いですね。

長崎リハビリテーション学院で学ぶ学生に、どんな作業療法士を目指してほしいと思われますか?

「障害」は、出ている症状でまとめて「~障害」と診断名前がついてしまうんですよね。

でも、患者様一人ひとりは、症状の程度も、悩みも、ご家族の思いも全然違います。それを理解することが大切ですし、個人に対して向き合える作業療法士になってほしいと思います。

 「障害をみるのではなく、その人の人生を考えていける」作業療法士であってほしい。

今使えるすべての機能を利用してどうよりよくするか考える・・・問題の裏にあるその人の生活しづらさを知ろうとする姿勢が大切だと思います。

私は、現在は講師として、これまで体験してきた臨床経験を沢山学生に話していきたいと思っています。そこから教科書では学べないことも合わせて伝えていければと思っています。

これから作業療法士を目指そうと考えている方にメッセージをお願いします。

作業療法士は、忍耐が必要な仕事です。辛い事もあります。人の死とも向き合わなければいけませんので、命と向き合う覚悟が必要だと思います。

でも、作業療法士は「人の人生を再建できる仕事」です。

少しの生活の変化に患者様が喜んで笑顔になられる瞬間を、自分のことのように喜ぶことが出来る人なら作業療法士の仕事は素晴らしい!と思えるでしょう。ぜひ目指してみてください。

保護者の方にメッセージをお願いします。

作業療法士は、これまでお話したように本当に素晴らしい仕事だと思います。
お子様が進路に迷われたり、作業療法士を考えているが迷ったりされたら、保護者の方はお子様に「きっかけ」を作ってみられませんか?

私自身も母から理学療法士や作業療法士の事を教えてもらったり、体験させてもらったりして、迷いながらも道を選んできました。保護者の方自身がいろんな事を調べたり、体験したり、ご一緒になって知っていただくことが一番のお子様にとっての支えになると信じています。

医療の道は簡単ではありません。専門学校に入っても勉強しなくてはいけませんし、国家試験の勉強もしなければいけませんので、色々大変な道のりではあると思います。

でもそれを乗り越えた喜びや将来の仕事の充実が必ず待っていますので、ぜひ最後まで頑張ってほしいと思います。

最後になりましたが、ご趣味はウクレレですか?

ウクレレは、患者様が喜ばれるので、実はよく弾くんですよ。
気分が落ち込まれている患者さんも、ウクレレで童謡を弾くと急に笑顔になっていただけたりします。

音楽って、人の心を和ませることができますよね。

得意のレパートリーは・・・童謡全般と、「となりのトトロ」とかですかね(笑)

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